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AV女優とは何をする仕事なのか — 契約・報酬・引退の仕組み

単体と企画で何が違うのか、事務所とメーカーはどちらが雇い主なのか、報酬はどう決まるのか、引退しても作品が消えないのはなぜか。仕事としての構造を整理しました。

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「AV女優」で検索して出てくるのは、ほぼ全部が作品一覧かランキングです。どういう契約で、誰に雇われていて、報酬がどう決まって、辞めたあと何が残るのかを書いているものは、ほとんど見当たりません。

この記事はそちら側です。作品の話は一切しません。

誰が雇っているのか

最初につまずくのはここです。出演者を抱えているのは**メーカーではなくプロダクション(事務所)**です。

  • メーカー — 作品を企画して制作・販売する。S1、SOD、プレステージなど
  • プロダクション — 出演者と契約し、キャスティング・交渉・スケジュールを担う

そして重要なのは、この関係が雇用ではないことです。出演者は事務所と契約し、作品ごとに報酬を受け取ります。会社員のような給与でも、労働時間の管理でもありません。

この構造が意味することを、はっきり書きます。事務所の利益と出演者の利益は、必ずしも同じ方向を向きません。 この業界で問題化してきた事例のほとんどは、この隙間で起きています。2022年に新しい法律ができたのも、ここに手を入れるためでした。

単体と企画 — 実質は別の仕事

業界内部の一番大きな線引きがこれです。日本語の記事でもあまり説明されません。

単体(たんたい)

メーカーと専属契約を結び、期間を決めて、月あたりの本数を決めて出演します。名前で売られます。宣伝費、撮影、雑誌露出、イベント。「AV女優」として名前が検索されるのは、ほぼこの層です。

企画(きかく)

専属を持たず、作品ごとに出演します。先に企画があって、そこに配役される形です。本数は多く、報酬水準は低く、宣伝の後ろ盾もありません。

単体企画
契約メーカーと専属・期間制作品単位
売り方名前で売る企画で売る
本数月あたり本数を固定多い
報酬企画の数倍出演ごと
宣伝ありほぼなし

単体の枠は非常に狭いです。そして専属契約は期間が来れば終わり、更新されないほうが普通です。

つまりこの仕事は、下方向に一方通行になりやすい構造を持っています。ここを理解しないままキャリアを読むと、ランキングに出ている数十人がこの業界の平均だと錯覚します。全然違います。

報酬について — 書けることと書けないこと

正直に言います。具体的な金額は書けません。

事務所の取り分は公開されていませんし、契約条件も公開されていません。ネットに流通している「単体は1本◯◯万円」という数字は、出典をたどると誰も一次情報を持っていません。

確かなのは構造だけです。

  1. 専属は企画の数倍の水準にある
  2. 事務所が相当な割合を取る
  3. キャリアが単体から企画へ移ると、急に落ちる

数字を出したほうが記事としては読まれるのは分かっています。それでも書きません。裏が取れないものを断定するのは、この業界について書くときに一番やってはいけないことだと思っています。

2022年に契約の仕組みが変わった

AV出演被害防止・救済法が2022年6月15日に成立し、6月23日に施行されました。

きっかけは同じ2022年の成年年齢引下げ(20歳→18歳)です。18・19歳が持っていた契約取消権が消えるため、国会が急いで作りました。内容として珍しいのは、作品の中身ではなく契約そのものを規制した点です。

内閣府男女共同参画局の説明に沿うと、義務はこうなっています。

段階内容
契約時契約書・説明書面の交付と説明が義務
撮影まで書面交付から1か月は撮影できない
撮影中安全の確保。嫌な行為は断れる
公表前撮影した映像を本人が確認できる
公表まで全撮影終了から4か月は公表できない
解除公表から1年間は無条件で契約解除できる

最後の解除権には経過措置があり、まだ生きている契約もあります。2022年6月23日〜2024年6月22日に締結した契約は公表から2年間、2024年6月23日〜2025年6月22日の契約は公表から1年または2026年12月22日のいずれか遅い日まで、2025年6月23日以降は原則1年です。

現場に何が起きたか

契約から公表まで最低5か月空きます。撮って売る、ができなくなりました。そして公表から1年は本人が取り下げられるので、流通側もその期間の価値を確定できません。

起きたことは予想通りで、体力のない制作者から順に苦しくなり、大手は吸収し、業界はもう少し集約しました。法律が守るべきものを守れたかは日本国内でも議論が分かれていて、決着したふりはしません。ただ経済の形を変えたことは争いようがありません。

引退という言葉の誤解

引退は「新作を作らなくなること」でしかありません。

既に発売された作品の流通は止まりません。ここが一番誤解されます。そして誤解されるのも当然で、2022年まで取り下げる仕組みそのものが存在しなかったのです。それ以前に引退した人は全員、新作なし・旧作すべて残る、という状態に引退していきました。

上の解除権が、公表済み作品を本人の意思で引っ込められる初めての手段です。実効性については別の限界があります — 日本の流通業者には効きますが、日本の管轄外にあるサーバーには効きません。

引退後の進路として記録に残っているのは、テレビ・映画などのメディア、音楽、事業、SNS。ただし記録に残るキャリアはそもそも例外的なもので、普通の職歴はほとんど公開情報になりません。それが2022年に法律が必要になった理由でもあります。

これは風俗とは別の業界です

最後に線を引きます。ここが日本語の記事でも頻繁に混ざります。

AVは映像制作業です。刑法175条(わいせつ物頒布)と、2022年以降は専用の法律で規制されます。

一方、ソープやデリヘルなどの店舗業は売春防止法と風営法の世界です。規制する法律も、監督官庁も、事業者も、多くの場合は人も違います。

隣接した労働市場ではありますが、同じものとして語ると両方について間違った結論が出ます。

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出典: 内閣府男女共同参画局「AV出演被害防止・救済法」政府広報オンライン

よくある質問

AV女優は事務所の社員なのですか?
基本的に雇用ではありません。プロダクション(事務所)と契約し、メーカーの作品に出演する形が一般的です。給与ではなく出演ごとの報酬になるため、労働法の保護が及ぶ範囲が会社員とは異なります。
単体女優と企画女優は何が違うのですか?
単体はメーカーと専属契約を結び、月あたりの本数を決めて名前で売り出される立場です。企画は専属を持たず作品ごとに出演し、企画の枠に配役されます。報酬水準と宣伝の手厚さが大きく違い、実質的に別の仕事です。
引退すると作品は消えるのですか?
消えません。引退は新作を作らなくなることを意味するだけで、既発売作品の流通は続きます。公表済み作品を取り下げられる仕組みは、2022年のAV出演被害防止・救済法による解除権が初めてです。
AV女優の報酬はいくらですか?
公開されていません。事務所の取り分も契約条件も非公表で、ネット上で流通している金額はほぼ根拠がありません。確かなのは構造だけで、専属は企画の数倍、事務所が相当割合を取り、キャリアが下の層に移ると急落します。

この記事を書いた人

ちょんまげ編集部

「行きたいけれど電話が無理」で止まっている人のために、予約の手順と料金の仕組みを 言語化しています。店舗や在籍者の宣伝はせず、利用する側が損をしないための情報だけを扱います。